IFRS(国際財務報告基準)と日本基準の差異のうち,棚卸資産に係るものについて見ていきます。
以下,日本基準についての記述はピンク色,IFRSについての記述は青色としています。
1.棚卸資産の定義(IAS2)
日本基準では,企業がその営業目的を達成するために所有し,かつ,売却を予定する資産を棚卸資産といいます。
また,売却を予定しない資産であっても販売活動等において短期間に消費される事務用消耗品等も棚卸資産に含める場合があります。
IFRSでは,以下のようなものをいいます。
・通常の事業の過程において販売を目的として保有されているもの
・その販売を目的とする生産の過程にあるもの(仕掛品等)
・生産過程若しくは役務の提供に当たって消費される原材料又は貯蔵品
2.原価配分方法(IAS2)
日本基準では,個別法・先入先出法・後入先出法・平均法(移動平均法・総平均法)・売価還元法が規定されています。2010年4月1日以降に開始する事業年度からは,後入先出法の適用はできません。
IFRSでは,先入先出法・加重平均法が規定されています。また特定の場合には個別法を適用することができます。
また売価還元法についてはその結果が実際原価法との近似するときには適用することができます。標準原価法の適用にも同様の制限があります。
3.評価減の処理(IAS2)
日本基準でもIFRSでも正味実現可能価額が簿価(取得原価)を下回る場合には,簿価の切り下げ(評価減)をしなければなりません。
日本基準では,前期に評価減した棚卸資産について,当期に簿価切り下げ額の戻し入れを行う方法(洗替え法)と
行わない方法(切放し法)のいずれかを選択することができます。
洗替え法では,前期に切り下げた簿価をいったん戻し入れて,再度取得原価と正味実現可能価額とを比較します。今期の正味実現可能価額が前期の正味実現可能価額を上回っている場合には,今期の評価減の額は前期よりも少なくなり,正味実現可能価額の回復という事実が反映されることになります。
切放し法では,一度正味実現価額まで切り下げたあとはその価額が新しい簿価となり,以後正味実現可能価額との比較対象となります。
IFRSでは,評価減の原因となった状況が消滅した場合,あるいは経済的状況の変化によって正味実現可能価額の増加が明らかな場合には,評価減の戻し入れを行います。
IFRS導入にあたっての留意事項
日本基準のコンバージェンス(企業会計基準9号 平成20年9月26日最終改正)によって,IFRSとの差異は小さくなっているといえます。
ただし,上記のように細かな相違点についてはフォローが必要です。






