IFRS(国際財務報告基準)と日本基準の差異のうち,有形固定資産に係るものについて見ていきます。
以下,日本基準についての記述はピンク色,IFRSについての記述は青色としています。
1.取得時(当初認識時)の処理(IAS16,IFRS5)
日本基準は平成22年4月1日以降開始する事業年度から資産除去債務の計上が求められることになりました。
IFRSでも,有形固定資産の当初認識において資産除去債務に対応する除去費用は取得原価を構成します。また,資産の取得等に要した借入費用は取得原価に含める必要があります。日本基準では該当する規定はありません。
2.当初認識後の処理(IAS16)
日本基準では,毎期計画的・規則的に減価償却を行います。取得原価から減価償却累計額(及び場合によっては減損損失)を控除したものが,その時点での資産の価額になります。
IFRSでは,原価モデルと再評価モデルのいずれかを選択することができます。
原価モデルは,日本基準と同じ考え方をする方法です。
再評価モデルは,資産の種類ごとに固定資産を公正価値で(再)評価します。これによって生じる再評価直前の帳簿価額と公正価値との差額は,公正価値の方が大きい場合は再評価剰余金として固定資産の価額にプラスされます。公正価値の方が小さい場合には,以前に計上した再評価剰余金を減額します。再評価剰余金がゼロ以下になった場合は損失として処理します。
3.減価償却(IAS16)
日本基準では,毎期計画的・規則的に減価償却を行いますが,減価償却の単位について特段の規定はありません。また,減価償却方法,残存価額,耐用年数等,減価償却を行うに当たっての重要な基礎的事項については,「計画的・規則的」というように,当初決定した方法,価額,年数にしたがって行います。とくに減価償却方法の変更は,重要な会計方針の変更とされています。
IFRSでは,有形固定資産中の重要な構成部分については,個別に減価償却方法,残存価額,耐用年数を定めて減価償却を行うという規定があります。
また,減価償却方法,残存価額,耐用年数は少なくとも事業年度ごとに見直す必要があります。したがって,減価償却方法の変更も見積の変更として取り扱われます。
4.減損処理(IAS36)
日本基準では,減損損失の認識に当たっては割引前将来キャッシュフローを使用し,減損損失の測定では割引後将来キャッシュフローを使用します。
IFRSでは,減損損失の認識の段階で割引後将来キャッシュフローを使用します。
また日本基準とは異なり,減損損失を認識した際の回収可能価額の見積もりに変化が生じた場合には減損損失の戻し入れを行います。
IFRS導入にあたっての留意事項
実務上は,確定決算主義の影響もあり,有形固定資産の減価償却については,税法上の残存価額,耐用年数を使用し,また減価償却方法も定率法が多く用いられています。
IFRSでは,有形固定資産中の重要な構成部分については,個別に減価償却方法等を定めるというように,減価償却に対する考え方はより会計理論に沿ったものになっています。
この点で,IFRS導入に当たっては,減価償却に対する方針を明確にするとともに,会計と税務との乖離が生じる可能性があるので,固定資産情報の管理について留意する必要があります。






