IFRS(国際財務報告基準)と日本基準の差異のうち,リース資産の借り手側の会計処理について見ていきます。
以下,日本基準についての記述はピンク色,IFRSについての記述は青色としています。

1.コンバージェンス
日本基準については,2008年4月1日以降開始される事業年度から適用になっている「リース取引に関する会計基準」(企業会計基準13号)で,IFRSとの差異はほぼ解消されているといえます。

2.ファイナンス・リースの定義(IAS17)
日本基準では,解約不能かつフルペイアウトを要件とするリース取引をファイナンス・リース取引いいます。
解約不能およびフルペイアウトについては,次のような基準で判定します。
・解約不能のリース期間が当該リース物件の経済的耐用年数の概ね
75%以上であること
・解約不能のリース期間中のリース料総額の現在価値が見積現金購入価額の概ね
90%以上であること
また,ファイナンス・リース取引には,所有権が借り手に移転するもの(所有権移転ファイナンス・リース)と移転しないもの(所有権移転外ファイナンス・リース)があります。

IFRSでは,資産の所有に伴うリスクと経済価値が実質的にすべて借り手に移転するリース取引をファイナンス・リース取引といいます。所有権移転ファイナンス・リースと所有権移転外ファイナンス・リースという区別はしません。
また,ファイナンス・リースかオペレーティング・リースかの区別は取引の経済的実体で判断されます。

3.ファイナンス・リースの会計処理(IAS17)
日本基準では,リース取引開始日に通常の売買取引に係る方法に準じた会計処理によってリー ス物件とこれに係る債務をリース資産及びリース債務として計上します。
所有権移転ファイナンス・リース取引に係るリース資産の減価償却費は,自己所有の固定資産に適用する減価償却方法と同一の方法により算定します。
所有権移転外ファイナンス・リース取引に係るリース資産の減価償却費は,原則としてリース期間を耐用年数とし,残存価額をゼロとして算定する。
また要件を満たせば,簡便な処理が認められます。

IFRSでは,リース期間の開始時点において,リース資産の公正価値と最低リース料総額の現在価値のいずれか低い方の金額で資産及び負債として認識します。
所有権移転外ファイナンス・リースという概念はなく,すべてのリース資産について,他の償却資産と同様の償却方法を適用する必要があります。
また,簡便的な処理というものは規定されていません。

IFRS導入にあたっての留意事項
IFRSでは取引の経済的実体を重視した首尾一貫した会計処理が求められます。
日本基準のような,一定の要件を満たすリース資産については簡便的な処理が認められたり,ファイナンス・リース取引かどうかを契約条件で判定したり,所有権移転の有無によって異なる会計処理が認められるということがありません。